セクシャルマイノリティへの差別・偏見・かんちがい

「LGBTQ +の人が最近増えているみたいだけど、私の周りにはいないよ」

「私の周りには存在しない」わけではなく、公にしていない(クローゼット)だけかもしれません。最近の調査(「電通LGBTQ+調査2023」など)では、10〜11人に一人がLGBTQ+の当事者であるという報告がなされています。
どの時代・社会においてもセクシュアルマイノリティ(LGBTQ+、性的少数者)は存在しますが、少数であるが故にいなかったことにされたり、差別や偏見のため、場合によっては生命や生活を奪われるほどの迫害を前に誰にも打ち明けてこられなかった多くの人がいます。
「最近増えている」ように感じられるのは、当事者によるこれまでの権利獲得や反差別の運動の積み重ねにより、社会が少しずつ、各々の性のあり方を公表できるように変化してきたことの現れではないでしょうか。

 

「性は男/女の二つしかない。性の多様性など、自然(本能)に反したことだ」

自然の生き物の性のあり方は本当に様々。そして自然の一部である人間の性のあり方も様々です。
どのような性的特徴を”男性的””女性的”とみなすのかは、その文化や社会によって規定されます。しかし実際の性のあり方は複雑で、社会の中に規定された性差に基づいて単純に二つに分けることは難しいことが分かっています。
また、性別の認識が男/女の二つだけではない文化・社会も、昔から存在しています。

 

「同性愛・トランスジェンダーは心の病気。治療で治るよ」

以前はそのように捉えられていたこともありますが、それは間違いでした。
性的指向や性別違和・性別不合は、「治療」「矯正」して変化するものではありません。「治療」や「矯正」は対象者に苦痛を与え、長期的に重大な心理的危害を引き起こす可能性があるということが、研究により明らかになっています。
現在ではWHO(世界保健機関)他、「同性愛はいかなる意味でも治療の対象とならない」と示されています。
またトランスジェンダーについては、性別違和/性別不合を緩和するための医療的措置を必要とする場合はありますが、”障害”という捉え方はしなくなっています。


「LGBTQ+は『生産性』がない」

まず、ここで言われる『生産性』とは、いったいどういうことでしょうか?
人間の存在は「生産性」という視点で評価されるべきものではありません。「生産性」という基準により人間に優劣をつけることは、基本的人権を否定することであり、優勢思想とも無関係ではありません。優生思想のもと、ナチスドイツにおいては大勢の同性愛者が収容所に収容され、ホロコーストの犠牲者となりました。
(リンク)すべての人びとが共に尊重し合い、認め合うことができる社会の実現に向けた要望書
https://aiau-higashihonganji.net/aiaunetnews20180809.html


「性的なことは公にするべきでない」

世の中は、性的に多数派(出生時に割り当てられた性別と性自認や性表現が一致し、異性愛者)に属することを前提とした意識や文化や仕組みで成り立っています。そこに当てはまる人は、いちいち自分のセクシュアリティ(性のあり方)を表明しなくても、それなりに不便なく過ごしていくことができます。または、表明してもそれが特別に意識されることもありません。
しかしセクシュアルマイノリティ(性的少数者)は、少数であるがために、既存の意識や文化や仕組みの狭間で様々な困難を抱えることがあります。マイノリティが自らの存在を社会に示すことができる状況は、その困難を明らかにし、全ての人が認められる社会を目指すために歓迎されることです。決して「公にするべきではない」と他者から言われるものではありません。