人間が人間であるために

違和感 藤原勲(大阪教区)

 2010年2月、宗門で初めての「女性住職の集い」が「点から線への出会いを」をテーマに開催されました。参加者の自己紹介で、一人ひとりが住職になるまでの経緯を話されたことが、今でも印象深く残っています。私も住職を継承して間もない頃だったので、話を聞きながら、私自身の住職継承があまりにもスムーズだったことに気がつきました。私を取り巻く環境・背景などが、それを後押ししていたのでしょう。同じ住職継承でも一人ひとりに「違い」があることを痛感しました。

 無事に事が運んだ自分の経験だけを元に、不安を抱えている人に対して、自分の経験だけを元に「大丈夫、大丈夫」「大したことないよ」と声を掛けてしまいそうです。しかし、女性たちは「大丈夫でないから」「大したことだから」と思っているのではないでしょうか。

 一見、制度上の男女差別は解消され、女性の住職も少しずつですが増えてきています。(175名 2017年8月28日現在)しかし、多様化した時代と言われても、住職といえば男性という概念はあまり変わらず、宗門をはじめ寺院を取り巻く環境は厳然たるものがあります。私が関わる教区の主な会議を見渡しても男性ばかりです。私もその男性の一人です。もし、「女性住職の集い」の参加者の声を聞いていなければ、「男性ばかり」に違和感を覚えなかったでしょう。

 「点から線への出会い」の場を地元で開きたいと思い、大阪教区で「女性住職の集い」を開催しています。参加される方々の思い思いに話される言葉に、あらたな視点をいただいています。

『同朋新聞』2017年10月号